終わってから大分経ってしまいましたが、感想書いてなかったので今更ですが書きます。
「TERROR」は舞台上で繰り広げられる裁判をもとに、観客が参審員として判決を決める法廷劇。
被告人はテロリストにハイジャックされた旅客機を撃墜し、164人の命を奪い7万人を救った空軍少佐。
彼は「有罪」か「無罪」か。毎公演ごとに判決が変わります。
ですが大きく票差が出るわけではなく、中には1票差で判決が決まる日もあり
それだけハッキリ分かれるものではなく、考えれば考えるほど答えが出せなくなりそうでした。
日本以外でも世界各国で上演されていて、その結果はなかなか興味深いものになっています。
公式HPで見られます→
http://www.parco-play.com/web/program/terror/
私は無罪派でした。ざっくり理由を言うと、
検察側の主張は少し的外れなように思えるし、情に訴えすぎる部分が多く、
弁護側の主張の方に同意する部分が多かったからです。
それでもどちらの主張にも頷いてしまうところがあって難しかったです。
一番納得したのは弁護側の「少佐個人を罪に問うことが正しいのか」という主張でした。
あとは検察側の「スタジアム(7万人の観客)に避難勧告を出すことができたのでは?」という問いには
確かに!とは思いましたが それは少佐個人に向けたものではなく、
少佐に指示を出していた上層部に向けてのものでした。
被告人のコッホ少佐、検察官の尋問に対し自分の考えをしっかり持ちハキハキと答える姿が好印象でした。
しかし最後に「もしあなたの妻や子供が旅客機に乗っていたとしても、同じことをしましたか?」という問いには
「答えることができない(どちらと答えても嘘になってしまうから)」と答えていたのが
人間らしくて良かったと思います。
ここでどちらかの答えを即答されていたら私は有罪に傾いていたかもしれません。
舞台上には特にセットもなく、ただ椅子が並べられただけで
そこに裁判長、弁護士、検察官、被告人、証人が並んで座るだけ。
ぞれぞれが「言葉」だけを武器に向き合います。
客電は基本的についたままで、シーンによってほんの少し薄暗くなったり明るくなったり
客席が「言葉」に集中しやすい演出になっていたのではないかと思います。
「言葉」の力って凄いなあ…と改めて感じました。映像がなくてもその様子が頭に浮かんでくるようでした。
キャスト陣の表現力による部分も大きかったと思います。素晴らしかったです。
「面白い」とか「楽しい」といったポジティブな言葉は相応しくないかもしれませんが
とても面白い舞台でした。
最後に お客さんも素晴らしかった! とキャストから拍手をおくってもらえたのもなんだか嬉しかったです笑