木の上の軍隊

2019.05.18 Saturday 23:00

今回が3回目の上演となる こまつ座「木の上の軍隊」
個人的には2回目の観劇。前回(2016年)と同じキャストで観られて嬉しいです。
前回を細かく覚えていないからかもしれないけれど、全然違うものになっていました!

すべてを理解する必要はないし、同じ経験をしていない以上はすべてを理解することなど出来るわけがない。
ただ大事なのは"知ること"だと 改めてそう感じた舞台でした。
たくさんの方に知ってほしい作品です。


続きでネタバレ感想
5月15日公演後に行われたアフタートークショーのメモもあります。
というかトークショーのメモがほとんどになりました。



まずはトークショーについて
覚えているところだけ書いているので間違えていたらごめんなさい

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5月15日公演アフタートークショー
登壇者:井上麻矢(こまつ座代表)、山西惇、松下洸平、普天間かおり
(敬称略)

キャストの3人は舞台衣装から着替えて登場。そのあまりにもラフな格好に笑いが起こっていました笑

・初演と再演、そして再々演について
井上「初演から続けて3回目の出演となる山西さん、なにやら"ミスター木の上"と呼ばれているとか…」
松下「ちょっと違います、"キングオブ木の上"です笑」
山西「キング…笑 初演終わったあと『もう2度とやるもんか〜!』と思ったんだけど…笑。本当に大変だったから!体力的にもしんどいし、初演は相手があの藤原竜也だったでしょ、あのテンションについていくのが大変で!年齢的な問題もあるから再演するなら早めにやってくれって言ってたんです」
井上「言ってましたね、出来るだけ早めに!って」
山西「で、再演で相手が松下くんに変わって、やってみたら まだまだ出来るな…?と。この上官って、戦場の最前線に出るような人だからきっと30代くらいかなとイメージしてたんです。新兵は10代。だから自分がやるならせいぜい60歳までだろうな〜と前までは思ってたんだけど、役者の実年齢って関係ないんだなと思えてきました」
松下「もう上官は山西さんじゃないと考えられないですもんね〜」
井上「出来るだけ早めに木の上から降ろしてあげたいという気持ちはあるんですが…笑。ではまだまだやっていただけるということでしょうか?」
山西「やりましょう!笑」
松下「僕は再演からの参加なんですけど、最初はすごくプレッシャーでした。この『木の上の軍隊』が僕にとって初めてのこまつ座さんでしたし、初演で同じ役を藤原竜也さんが演じていたっていうのもあるし、本当に色々なプレッシャーがありました。だからもう全力で。もう全部出し切った!やり残したことはない!って思ってたのに、今回の再々演やってみたら いや〜…あるんですね…まだまだ……」
力強く頷く山西さん
松下「毎日舞台に立っている最中にもまだまだ新しい気付きがあるし、毎日違うんだなと思います。きっと次回もまったく別物になると思います」
普天間「私も松下さんと同じく再演から参加したんですけど、今まで歌手を生業としていたのでお芝居が初めてで。
もう色んな方にご迷惑をおかけしました…。だけど最初に脚本を貰って読んだときに、絶対やりたい!って思ったんです。むしろ私以外にはやらせたくない!と思ったくらい。出来るかどうかは分からないのに笑。この作品を届ける一員になりたいって思ったんです。なのでこうして今回も参加できて嬉しいです」
山西「今回は、前回以上にご覧になった方から力強い反応が多い印象です。初演の頃に比べて状況が変わっているのもあると思うけど、この物語は決して他人事ではないんだと、そういう感想を貰うことが多いですね」

山西「今回ラストシーンとか、色々変わってるよね。前回は最後に新兵に対して申し訳ないという気持ちがあったんだけど、今回脚本を読み直してみたら『おや?上官、謝ってる場合じゃないぞ?』と思って笑。今回はお互い理解できないまま終わる。でもそれで良いんだなと思います」
松下「あのシーンで『それでも知りたいという気持ちはあった』って台詞が、新兵の方から出るのが良いですよね。お互いの考えが交わることはなかったけど、それでもその気持ちがあるのはちゃんと分かっていたって」
松下「今年の新兵は"なにも知らない新兵"です。どうしてこういう状況になっているのか、何故戦うのかなにも知らないけど、自分の島を守るためだけに戦場に出ている。あと上官が時々「お前ら」って表現するところ、前回の新兵はそれに対してムッとしてたんですけど、今年の新兵はキョトンとするんです。「おまえら…?」って。何故そういう呼ばれ方をするのか理解してない。本土と島で区別されていることを知らないから、理解が出来ないんです」
普天間「木の精としても気持ちの変化があります。前回は上官に対してワジワジー(沖縄の方言で"腹が立つ"の意)して、憎たらしい〜!って気持ちがあったんですけど笑、今回はふたりとも助けてあげたい!と思ってます。人を憎むのではなく“戦”を憎む、きっとあのガジュマルの木もそういう気持ちだったんじゃないかなと」

・念願の沖縄公演について
山西「初演の頃からやりたい!って言ってましたもんね。最後、木の上から見つめたときにどんな景色が見えるのか楽しみにしてます」
松下「感慨深いなあと思います。会場も道を挟んだ隣に基地があるって場所で、それも含めてスタッフさんの尽力のおかげでこの沖縄公演が実現するんだなって、感慨深いなぁ〜って。僕の役は沖縄のシンボルでもあるので、現地の方にどう受け入れてもらえるか…楽しみです」
普天間「正直に言うと怖いです。でもたくさんのウチナーンチュに観てもらいたいです。これだけ沖縄のことを想って創られた作品があるということを、それだけでも知って欲しいなと思います」

・舞台上のガジュマルの木について
山西「これ、最後の立った状態の木を見た時に、演出の栗山さんがサラッと『最初からこの状態でやればいいじゃん』って笑 いやいや何をいっとるんだと笑」
松下「とんでもないことを笑」
普天間「私最初に見たときビックリしました!本当にガジュマルの木が立ってる〜!!生やしたのかな?って」
山西「初演の頃は木がもう少し大きかったんですよね。シアターコクーンだったから。しかも稽古の段階ではセットが出来てなくて、木の板を斜めに掛けてそこに棒を立てたり縄を吊したりして、その状態でやってましたね。とんでもないこと考えるなあと…」
松下「僕たちは"木の上の軍隊"ですけど、実はこの中にたくさんの"木の下の軍隊"がいるんですよ。僕たちは大変支えられてます」
拍手する客席
松下「多分拍手しても出てきません笑 。たまに上官の方を向きながら喋ってる間に、下でさり気なく靴紐を結んでくれてたりします」
山西「そうなんだ!笑」


山西「稽古の時に栗山さんが『この作品は告発する劇ではない』と言っていて。なにかを訴えかけるのではなくて、そこに人が居たことを知ってもらう、そういうことが大事なんだと。この作品、実は具体的な日付や土地や国の名前は一切出てこないんですよね。だからどこかに限った話ではなくて、普遍的な話なんだと思います」
松下「演劇って観る人に問いを投げかけるものだと思うんです。そこに正解はないんだけど、役者としてはある程度ひとつの答えを固めておきたいところなんです。でも、これだ!って固めなくても良いんだなと思いました」

非常に興味深いトークショーでした!ありがとうございました。

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まず目に飛び込んでくるのは、舞台上にそびえ立つ大きなガジュマルの木
その上でふたりの軍隊が織り成す物語は、その木の見た目以上にインパクトが大きく、
舞台から発せられるエネルギーがとてつもない。観たあとに はぁ〜 と息を吐くことしか出来ない
そんな印象は前回と同じで、すこし懐かしいな!と思いました。
感じるものは確かに多いのにうまく言葉にまとめられない。泣けばスッキリできるだろうけど泣くことも出来ない。
でもそれがこの作品の魅力的な部分なのだとも思います。
(前回はまとめられなさすぎてブログが書けませんでした)

特に印象に残ったのは、松下くん演じる新兵。説得力が増していました。
台詞や動きに大きく変更はないはずなのに、伝わるものが確かに増えて
「そういうことを言ってるのか!」とカッチリはまる。前回よくわからなかった部分も今回は納得が出来ました。
上官の背中を見つめる部分とか、ふたりが衝突するシーンとか。
あの新兵は兵士というよりもただの島の青年。
そんな新兵を公演プログラムで蓬莱さんが「犠牲の象徴」と表現していてかなり腑に落ちました。
島同様におおらかでのんき、そしてあの無垢さ、新兵のそういう部分が浮き彫りにするあの状況の残酷さ、悲惨さ。

木の上のふたりは本当にガジュマルの木の一部に見えるような瞬間がありその度に不思議な感覚になりました。
ふたりが木から降りる時には必ず「木から降りた」という語りが入るのに、木に登るときにはほぼないことに
何度か観たあと気がついて面白かったです。
「登る」のはもうわざわざ言うまでもないくらい、“当たり前”のことになってしまっているということなのかな。
いやもう木の一部になっているなら「登る」というより「戻る」なのかな。

ただ重苦しいだけの舞台ではなく、思わず笑いが起こるような場面もたくさんあり
台詞の言い方や声の調子だけでも面白くて、そういう部分も分かりやすくなっていたと思いました。
上官と新兵のやりとりや、たまに挟まれる木の精のツッコミにケラケラ笑ってしまうけど
終盤は笑いよりも悲しみや痛々しい気持ちが強く
ふたりのやりとりは序盤とあまり変わらないように思えるのに、とても笑えなくなってしまうところとか好きでした。

上官と新兵を演じる山西さんと松下くん、その芝居にはどんな場面でも嘘がない。
誰かに聞かせるため・見せるための言動ではなく、ふたりはただそこに居る。
その姿に観る人が何を感じて何を考えるのかはその人の自由であり
それでいて決して押しつけがましくないところ。改めて「演劇」って良いなと思ったりします。
あと木の精でもある"語る女"の普天間さんは、キレの良い声が素敵。歌声は強くやさしい。
ふたりのやりとりに反応したり(表情が良い…)、木とたわむれている姿も可愛らしかったです。
そうそう、あのうたの意味が知りたいなと思うのですが!歌詞をちゃんと覚えきれなくて
なかなかうまく調べられないんですよね… 誰か解説して…(他力本願)


木の上から見つめるふたりの兵士、歪んだヴィオラの音色、力強く響く琉歌
それらをかき消す轟音
この物語は終わってなどいない、いまも続いている
そんな印象を抱く心に残るラストシーンでした。
category:・松下洸平くん | by:せみ | - | -

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